モラルハザード➀　あらすじ、感想

物語は、ある日おしゃれなカフェで、登場人物の一人『真琴』の誕生日パーティーが開催されているところから始まる。子連れのママ達数人がシャンパンで乾杯し、和やかに談笑しているところに、突然数名の警察官の来訪。この直後、この中の誰かが警察に逮捕されることとなる。それはいったい誰・・・！？

話は半年前にさかのぼる。

自由が丘のカフェでランチをする三人。この時点では有名なプリスクールに子どもを通わせる、お受験を目指すセレブママたち。芸能人の夫を持つ真琴、元モデルで夫はいくつかの会社を経営している奈美、実家が大病院の医者の夫を持ち、本人は元CAの杏子。

お互いのことや夫のことを大げさに褒めあい、褒められた方は謙遜しながらもほころぶ口元。まるでお決まりのやりとりのよう。

それでいて、カフェでぐずる他の客の子どもを見て冷たいまなざしを向け、改めてセレブスクールに通わせている自分たちに優越感を持つ三人だった・・・。

代官山のカフェで夫と子どもと三人のディナーをしている相原真琴。お腹を空かせた子どもの斗夢が運ばれてきた料理に手を伸ばすが、それを制してSNS用の写真を撮っている。

夫の透は芸能人だが、実は売れないお笑い芸人。出会いは真琴の会社のパーティーで。売れない芸人との結婚に最初は不安があったが、お互いの実家の援助がある。真琴の実家は千葉の豪農で、夫の実家は兵庫の大きな造り酒屋。かなりの額の援助をもらっており、そこからプリスクールの月謝や豪華な外食などをまかなっている。

・・・子どもが待ちきれず泣いても構わず料理の写真を撮り続ける真琴と、それをとがめる透。最近の自分の投稿と比べ、奈美や杏子のSNSは旅行やブランド物の写真ばかりで明らかに格上だが、今日のディナーなら見劣りしない。透は現実をわかっていない、斗夢のため、と自分に言い聞かせる真琴だった。